酵素栄養学(4)
4,酵素を無駄遣いしないことが、健康長寿の秘訣。
消化酵素、代謝酵素、食物酵素の関係
さらに今度は、消化酵素と代謝酵素の関係を食物酵素を交えて見ていきます。
人間にはそれぞれ個人差がありますが、酵素を作る能力には限りがあります。消化酵素も代謝酵素も出所は同じなので、消化酵素ばかりを作っていると、代謝酵素のほうが不足してきます。
〈ケース1〉
仮に酵素を作る能力が20の人がいるとします。
その人が、たとえば、焼き魚を食べるとします。
そして、その焼き魚を消化するには、10の酵素の力を必要とするとします。
しかし、その魚には、大根下ろしが付け合わされています。その大根下ろしは食物酵素ですから消化を助けてくれます。その力を2とします。
すると、魚を消化するには、差し引き8の酵素を身体が負担することになり、20のうちの12は代謝酵素のほうに回されます。
〈ケース2〉
次に、同じ人が、焼き魚を2匹一度に食べるとします。そして、これには、付け合わせの大根下ろしがありません。
こうなると、2匹の焼き魚を消化するために、20の酵素の力すべてが使われて代謝酵素をつくることができなくなります。
こうなると、どうでしょうか。
代謝酵素は、免疫力や自然治癒力や新陳代謝の働きを受け持つ酵素です。それらの酵素が不足してしまうので、当然、ウイルスなどが侵入してきたとき、防衛できなくなります。風邪をひきやすくなったり、またひいたあと、治りが悪くなったりします。
その他、様々な病気にかかりやすくなるのはいうまでもありません。
どうして風邪を引くと脂っぽい物は食べたくなくなるのか
風邪をひいた時に、私たちは何を食べるでしょうか。お粥ですね。
それはどうしてかというと、お粥は脂っこいものに比べて、消化しやすいからです。つまり、消化のために酵素を余分に使わなくて済むので、余った酵素の力を代謝酵素に回せるのです。
犬でも猫でも、動物は皆、身体の調子が悪くなると、何も食べずにじっとしているようになります。それもやはり、食べないことによって、酵素の力を免疫力や自然治癒力を高める代謝酵素に回そうとするからだということです。
私たちでも、病気になったときは、脂っこいものはあまり食べたいとは思わないと思いますが、これも同じで、身体の方で消化に負担のかかるものを嫌うからです。
つまり食欲がなくなるのも、一つの自然治癒力とみることができるのです。ですからそういう時には、消化しやすい酵素がたっぷり入った食事を摂るようにすると良いということです。